外来について
OUTPATIENT
麻酔科
当院の麻酔科は、手術中に施す麻酔とペインクリニックを担当します。手術の麻酔は全身麻酔と局所麻酔に分かれ、麻酔科が全身麻酔を担当します。手術前に患者さんを診察し、手術中は痛みを軽減するために鎮痛薬を使用し、全身の管理を行います。手術後も痛みの管理を行い、患者さんの快適な回復をサポートします。
対象疾患
手術における麻酔
・全身麻酔、脊髄クモ膜下麻酔、硬膜外麻酔、超音波ガイド下末梢神経ブロック
疼痛管理(ペインクリニック)
・神経ブロック
・薬物療法
ペインクリニック外来では患者様方の痛みを治療して、日常生活の質を上げます。
治療対象は主に下記の疾患による痛みですが、それ以外にも対応しております。
治療方法は主に神経ブロック療法と鎮痛薬の調整ですが、痛みは生活能力、こころの状態にも影響するため、リハビリテーション、心理療法も同時に行います。また、強い痛みには入院の上、下記のX線透視下治療を行います。治療方法は随時、増やしていく予定です。
当科では最新の治療ガイドラインの方針を遵守しつつも、個々の患者さんに合わせたテーラーメイドの痛み治療を目指しております。
2024年5月より診療開始ですが、診療体制が整うまでの間は院内紹介の患者さんのみの診療となります。患者さんへご不便をおかけして大変申し訳ありませんが、体制が整い次第、院外からの患者さんの診療にも対応させて頂きます。
治療対象:整形外科疾患による痛み、帯状疱疹関連痛、がんの痛み、各種の神経痛、顔面神経麻痺、その他
治療方法:硬膜外ブロック、超音波ガイド下末梢神経ブロック、ハイドロリリース
X線透視下治療(持続硬膜外ブロック、恒久的神経ブロック、硬膜外癒着剥離など)
オピオイドを含む鎮痛薬の調整、漢方薬処方
術後早期回復
麻酔科では、術後の早期回復を目指して麻酔管理をしています。
術後早期の飲水(Drinking),飲食(Eating)および離床(Mobilizing)が術後の早期回復に影響することがわかっています。これを“DREAM”と略します。
“DREAM”を目標とし、術中の侵襲反応の軽減・適正な輸液管理・術後悪心嘔吐の予防などを実施します。
術後痛
術後の痛みも早期離床を妨げる因子ですし、患者さんが一番気にしている事だと思います。術後の疼痛が少ない麻酔管理及び術後鎮痛を行うように努めています。現在、術後疼痛管理(APS)チームの立ち上げを目指して活動中であり術後の痛みに関しては積極的に取り組んでいきます。
チーム医療
麻酔を受けられる患者さんには色々な病気をお持ちの方がいらっしゃいます。チーム医療を行い、専門の科の先生にも協力していただき、病気をお持ちの患者さんでも、安心して麻酔を受けていだだけるようにしていますので、ご安心してください。そのために手術担当科以外の科への紹介が必要になったり、検査が増えたりすることがありますのでご了承ください。
手術治療は、多くの医療スタッフの協力で行います。手術室には、多職種のスタッフがチームを組んでより安全な体制で手術を行っています。皆さまの入室時・手術開始時・退室時には、医療スタッフ間で国際基準の安全確認を行っています。何度もお名前をお伺いしたり、色々お尋ねしたりすることがあります。
麻酔Q&A
Q1.全身麻酔は安全ですか?
A.ここ20年の間に麻酔は飛躍的に進歩し、安全に行われるようになってきました。また、麻酔器や、モニターも非常に進歩しています。当院では、麻酔専門医による術前診察、術後回診等により、患者様の周術期(術前から術後まで)管理を行い、より安全な麻酔を目指して日々努力しています。また、麻酔を受けられる患者様には色々な病気を持っている方がおられます。当院ではできるだけ他の科の先生とも協力して患者様に不安のない麻酔を提供していきます。
Q2.麻酔からさめた後は痛いのですか?
A.手術ですから、まったく痛くないとは言えません。当院では、硬膜外麻酔や持続的な麻薬の投与、局所麻酔薬による末梢神経ブロックにくわえて、定期的な鎮痛剤の投与で対応してます。レスキュー(痛い時の指示)も準備しておりますので、疼痛時は我慢せずに仰って下さい。
Q3.いつ麻酔から覚めるのですか?
A.ほとんどの方が手術終了後30分以内に麻酔から覚めて簡単な受け答えができるようになっています。安全を確認してから病棟に帰るようになっております。稀に麻酔からの覚醒が遅い方がいます。病棟で覚醒する場合や、安全のために集中治療室で経過を見る場合があります。
Q4.麻酔の前に経口制限をするのはなぜですか?
A.特に全身麻酔を予定している場合には規定の絶食をお願いしています。麻酔がかかって意識がなくなった時に嘔吐をすると、自分では吐き出せなくなっているので窒息の原因になったり、肺に入って肺炎の原因になったりしてしまいます。下半身麻酔の場合でも、途中から全身麻酔に切り替わる可能性もありますから、同様の絶食をお願いしています。小児は食べ物が胃内にある時間が短いので、絶食時間は大人よりも短くて良いとされています。年齢により多少差がありますので、詳細は担当の麻酔科医とご相談ください。
Q5. 麻酔科診察までに準備することはありますか?
A.健康状態や過去にかかった病気は麻酔に大きな影響を与えます。以前にかかった病気の種類、現在もその治療をしているのか、手術をしたことがあるのか、どんな麻酔で手術したのか、麻酔は順調であったかなどを思い出しておいてください。非常にまれにしかありませんが、麻酔に関係して高い熱が出て、全身の筋肉が固くなり、処置が遅れると死亡することもある病気(悪性高熱症といいます)があります。遺伝性の病気なので、肉親の方にあれば必ずお知らせください。
Q6.タバコは止めた方が良いの?
A.タバコは周術期の経過に悪い影響があります。是非やめて下さい。加熱式タバコや受動喫煙も同様の影響があります。
タバコの影響
痰が増える、酸素が体に入りにくくなり周術期の呼吸器合併症を増やす。
心筋梗塞・脳卒中の頻度を高める。
術後の痛みが強くなる。
骨癒合障害・創感染などの周術期合併症の危険因子である。
人工関節の再置換率を高める。 等があります。
Q7.子供が予防接種を受けました。全身麻酔を受けるまでにどれくらい期間をあければ良いですか?
A.生ワクチン: 副反応 接種後3週間、免疫獲得 接種後4週間
不活化ワクチン・トキソイド: 副反応 接種後2日間、免疫獲得 接種後2週間
一般的には、予防接種の副作用による症状(発熱など)と、上気道感染を初めとする感染症の症状や術後合併症による症状とがまぎらわしく、鑑別のための時間も必要であることから、可能であれば副反応が起こる可能性がある期間をさけて全身麻酔を行うことが望ましいとされています。また、麻酔をかけると免疫を獲得できなくなることもあるため、確実に免疫をつけたい方は、免疫を獲得できる期間を経過してから麻酔を受けて下さい。
なお、全身麻酔後の予防接種は2~4週間避けて下さい。
Q8. いつから水を飲んだり、食事ができたりできるのですか?
A8.小さい手術の場合は手術後4時間後くらいから水分が取れるようになります。腹部手術や長時間の手術の場合は翌日以降になります。胃腸の動き、おならの具合、吐き気などを見て決めていきます。水分が取れる様になってから、柔らかい消化の良いものなどを摂取していくことになります。十分な食事ができるまでは点滴で栄養や水分などを補います。
Q9.手術のときは尿道に管(カテーテル)を入れるの?
A.①手術の後に自分ではうまく排尿できなくなる。
②手術中と手術後に尿量を計測する必要がある。
③長時間の手術で膀胱がいっぱいになる可能性がある。
このような症例では全身麻酔を行ってから管を入れます。当院では尿道違和感が強くなると予想される患者様には尿道に局所麻酔を撒けるタイプのカテーテルを使用しています。違和感が少なくなります。
Q10.麻酔をかけると呆けることがあるの?
A.とくにご高齢の患者さんでは、手術の後に理解力が失われ、異常な言動が見られることがあります。これは入院や手術、その後のベッド上生活といった一連の非日常的な体験によって起こる現象で、麻酔が直接の原因となるものではありません。多くの場合は数日で元に戻ります。